近年、エピジェネティックな発現調節機構としてマイクロRNA(miRNA)が癌領域でも注目されているが、膀胱癌における研究は殆どない.我々は膀胱癌でがん抑制的に働いているmiRNAを検索するために膀胱癌14検体、正常膀胱粘膜5検体、3つの膀胱癌細胞株を用いて156種類のmicroRNAのスクリーニングをおこない、正常膀胱癌粘膜に比べて膀胱癌で発現が有意に低下している7種類のmicroRNAを同定した。次に臨床検体(104膀胱癌および31正常膀胱癌粘膜検体)における検証実験では、これらmiRNAは膀胱癌で発現が有意に低下していた。われわれ独自のアルゴリズムではcytokeratin7(KRT7)はこれらmiRNAの共通のターゲットであることが示唆された。KRT7のmessenger RNAの発現は膀胱癌検体において有意に上昇しており、各microRNAの発現とは逆相関が見られた。細胞株においてsi-KRT7 transfectantや数種類のmiRNA transfectantsでは細胞増殖が有意に抑制された。我々の同定したmiRNAやKRT7は膀胱癌において癌抑制作用を有すると考えられた。
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