研究概要 |
昨年報告した156種類のmicroRNAのスクリーニングにて得られた、正常膀胱癌粘膜に比べて膀胱癌で発現が有意に低下している7種類のmicroRNAのターゲット実験を実施した。昨年の報告ではcytokeratin7(KRT7)はこれらmiRNAの共通のターゲットであることが示唆された。今回、miR-145,miR-133aの新たなターゲットしてFSCN1が同定された。ルシフェラーゼアッセイではmiR-145,miR-133aがFSCN1の予測結合部位に結合し、ルシフェラーゼ活性が著明に減少した。尿路上皮癌細胞の増殖、遊走、浸潤能はsi-FSCN1トランスフェクタントにおいて有意に抑制された。臨床膀胱癌検体においてFSCN1 mRNAの発現は正常膀胱に比べて有意に高かった。FSCN1はmiR-145,miR-133aによりその発現を制御され尿路上皮癌の増殖、遊走、浸潤能に寄与し、さらにmiR-133aはLASP1を直接制御することで癌抑制的に働くことが示唆された。現在は、さらに膀胱癌で発現が上昇しているmicroRNAを尿で検出可能かどうかの実験が進行中である。
|