「研究目的」 血中のハプトグロビンが新たな前立腺癌の腫瘍マーカーとして用いられる診断法を確立する。 「研究実施計画」---平成20年度 ハプトグロビンβ鎖に結合しているフコース(Fuc)或いはシアル酸(SA)の結合位置の確定 1)血清からハプトグロビンを精製し糖鎖構造の決定 すでに確立している方法で血清からハプトグロビンを精製した。健常人、良性前立疾患、前立腺癌患者血清をヘモグロビンアフィニティーカラムにかけてハプトグロビンを精製し、還元アルキル化後、ゲル濾過にてハプトグロビンβ鎖を分離した。(血清は平成20年9月に学内の倫理委員会で承認されたものを用いた) 2)フコース或いはシアル酸結合部位の決定 1)で精製した各試料の精製ハプトグロビンβ鎖をトリプシン消化後、グリコペプチド(Asn46、Asn50を含むグリコペプチド配列)を精製した。精製したグリコペプチドのN-グリカン或いはO-グリカンのMALDI-TOF解析から前立腺癌ハプトグロビンβ鎖に結合している糖鎖修飾(Asn46、Asn50)はO-グリカンではなくN-グリカンであることが示唆された。 そのN-グリカンに結合している糖鎖の末端側には、フコース或いはシアル酸が結合していた。現在、シアリルLe^a或いはシアリルLe^xどちらであるか、糖鎖配列構造をMALDI-TOF或いはレクチンと癌糖鎖抗原抗体を用いて確認中である。また、ハプトグロビンβ鎖の糖鎖修飾の定量も行っている。
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