前立腺細胞増殖に関与する内分泌関連タンパクの解析

2008 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20591869
• 研究機関: 日本大学
• 研究代表者: 高橋 悟 日本大学, 医学部, 教授 (50197141)
• 研究分担者: 井上 聡 東京大学, 医学部・附属病院, 客員教授 (40251251) ; 浦野 友彦 東京大学, 医学部・附属病院, 特任助教 (20334386) ; 平野 大作 日本大学, 医学部, 講師 (40228804)
• キーワード: androgen / estrogen / P450 / APP / EBAG9 / 前立腺癌

研究概要

成果(1):chromatin immunoprecipitation combined with genome tiling array analysis (ChIP-chip)により、primary androgen targetとしてamyloid precursor protein(APP)を同定した。APPはfunctional androgen receptor binding siteを有し、androgenによりその発現が調節されていることを明らかにした。LNCapを使用したin vitro実験ではAPPは前立腺癌細胞の増殖を促進し、臨床検体を使用した免疫組織学的検討ではAPPを発現する症例は有意に予後が不良であった。(雑誌論文1参照)
成果(2):estrogen responsive geneであるEBAG9はこれまでの我々の研究で、前立腺癌、腎癌、乳癌などで増殖促進的に作用することが明らかにされてきた。今回膀胱癌におけるEBAG9の意義を検討した。ヒト膀胱癌細胞株EJ cellを使用したin vitro実験ではEBAG9は膀胱癌細胞の増殖を促進し、siRNAにてその作用は消失した。臨床検体を使用した免疫組織学的検討ではEBAG9を発現する症例は有意に予後が不良であった。(雑誌論文2参照)
成果(3):P450であるCYP3A4は前立腺上皮細胞におけるandrogenの代謝に重要な役割を果たしている。我々は臨床前立腺癌と良性肥大症の検体を使用して、CYP3A4の発現を免疫組織学的に検討した。その結果、CYP3Aの発現が低下した前立腺癌症例は有意に予後が不良であった。(雑誌論文3参照)

研究成果

• [雑誌論文] Amyloid precursor protein is a primary androgen target gene that promotes prostate cancer growth. (2009)
  • 著者名/発表者名: Takayama K, Tsutsumi S, Suzuki T, Horie-Inoue K, Ikeda K, Kaneshiro K, Fujimura T, Kumagai J, Urano T, Sakaki Y, Shirahige K, Sasano H, Takahashi S, Kitamura T, Ouichi Y, Aburatani H, Inoue S.
  • 雑誌名: Cancer Research 69 ページ: 137-142
  • 査読あり
• [雑誌論文] EBAG9 is a tumor-promoting and prognostic factor for bladder cancer. (2009)
  • 著者名/発表者名: Kumagai J, Urano T, Ogushi T, Takahashi S, Horie-Inoue K, Fujimura T, Azuma K, Muramatsu M, Ouchi Y, Kitamura T, Inoue S.
  • 雑誌名: International Journal of Cancer 123 ページ: 799-805
  • 査読あり
• [雑誌論文] Expression of cytochrome P450 3A4 and its clinical significance in human prostate cancer (2009)
  • 著者名/発表者名: Fujimura T, Takahashi S, Urano T, Kumagai J, Murata T, Ogushi T, Horie-Inoue K, Ouchi Y, Kitamura T, Muramatsu M, Homma Yukio, Inoue S.
  • 雑誌名: Urology (In press)
  • 査読あり