研究課題
基盤研究(C)
ファージ・デイスプレイ法を用い、ICOS法(J Immunol Methods. 351 : 1-12、2009)によりAIMS-5ライブラリーより2種類のヒト腎細胞癌細胞特異的抗体(062-130 & 059-152)を選択した。これら抗体が認識する腎がん細胞膜上の抗原はEGFRであった。これら抗体をIgG化し抗腫瘍効果を検討した。in vitroではヒト腎癌細胞株であるCCF-RC1に対し、062-130では濃度依存性に細胞増殖を抑制し、抗体濃度10μg/mlにてコントロールに比べ59.4%、059-152では34.8%の細胞増殖抑制効果が得られた。これら腫瘍増殖抑制の機序として、各抗体ともCCF-RC1およびACHNに対し35-40%程度の腫瘍細胞に対するADCC活性を認めたがCaki-1に対しては全くADCC活性を呈さなかった。また、062-130はCCF-RC1およびACHNに対しリン酸化阻害活性を示し、これらはEGFR阻害薬であるCetuximabより強力であった。一方、059-152は如何なるリン酸化阻害活性も示さなかった。ヒト腎癌坦癌SCIDマウスに対し投与した実験では、コントロールに比べ有為な腫瘍増殖抑制を認めた。抗腫瘍効果は、各抗体において投与スケジュールや投与量、投与方法により増殖抑制に差がみられた。また、抗がん剤等との併用により相乗効果も認められたが、一方で抗がん化学療法剤との併用では宿主の体重減少等が認められ、副作用に対する検討が必要と考えられた。しかし、私どもの腎細胞癌治療用抗体作製のストラテジーは本来ヒト抗体ファージ・ライブラリーより産製される抗体を用いることから交差反応の可能性も少ないため、将来的にも治療の有効性と安全性を充分に諮れるもので、ヒト腎細胞癌に対する臨床応用が期待できると考えられた。
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