研究概要 |
マウス胎仔の雄生殖巣から始原生殖細胞に発現する遺伝子として単離したDDX1遺伝子をノックダウンしたマウス精原細胞株(GC1)を用いてcyclin D2の転写活性について検討した。Doxycyclin(DOX)存在下でDDX1を発現誘導するDDX1ノックダウン細胞を作製し、マウスcyclin D2遺伝子の転写開始点上流ゲノムDNAを組み込んだコンストラクトを用いてレポーターアッセイを行った。DOX依存性の転写活性は-308で見られなくなり、-308~-348の間に2bpの突然変異を導入すると抑制されたことから、DDX1の転写活性に必要な領域はcyclin D2-308から-348であることがわかった。次に、ゲルシフトアッセイを行い-329から-348の配列がDDX1と結合すること、GST-DDX1融合蛋白を用いたアッセイからDDX1はこの配列に直性結合することがわかった。さらにChipアッセイにより、GC1細胞ではcyclin D2クロマチン複合体にDDX1が存在することが確認できた。以上の結果から、DDX1はcyclin D2プロモーター領域に直接結合し、転写活性を正に制御していることが明らかになった。 個体におけるDDX1遺伝子の生殖系での役割を調べる為に,コンディショナルトランスジェニックマウス及びコンディショナルノックアウトマウスを作製している。すでに、コンディショナルトランスジェニックマウスは誕生したので、今後生殖系特異的なプロモーターCreマウスと掛け合わせ、腫瘍形成がおこるかどうかを検討する。また、コンディショナルノックアウトマウスはキメラマウスが誕生し、ジャームラインにのったファウンダーを得ている。Cre-Tgマウスを用いてホモ接合性マウスを作出し、精子形成過程への影響を検討する。
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