研究概要 |
研究A:膀胱尿路上皮・求心性神経伝達系の電気生理学的解析 平成20年度に確立した膀胱内圧・膀胱求心性神経単一神経活動(SAA)同時測定ラットモデルを用いて以下の研究成果を得た.1)選択的beta3-AR作動薬であるCL316,243(CL)の静脈内投与は膀胱の伸展刺激に反応する一次求心性神経のうち,膀胱伸展刺激によって惹起されるAdelta線維の活動を抑制するが,C線維のそれは抑制しない.一方,膀胱内にプロスタグランジン(PG)E2を注入すると,C線維のみ活動が亢進するが,このPGE2によって促進されるC線維活動を,CLの静脈内投与は抑制しうることが判明した.2)膀胱内にATPを直接注入して誘発される排尿筋過活動には,カプサイシン非感受性C線維の活動亢進が関与することを解明した.3)脊髄損傷ラットにおいては,SAAは膀胱のmicromotionに呼応して促進される2つのタイプ(acceleratedとnon-accelerated)が存在し,acceleratedタイプは,神経伝達速度に関係なく慢性脊髄損傷ラットにおいてその頻度が高いことが判明した. 研究C:ヒト羊膜由来細胞を用いた膀胱機能再生・再建法の開発 ヒト羊膜から間葉系幹細胞(HAMC)を分離培養し,ヌードマウス膀胱の凍結障害部に移植したところ,凍結障害部において移植したHAMC細胞が生着し,平滑筋細胞に分化し,障害部平滑筋の再生・修復を促進しうること,ならびに機能的にも膀胱平滑筋の収縮機能回復を促進することが確認できた. A-2:膀胱尿路上皮下C線維の知覚閾値の測定,および研究B:尿路上皮・求心性神経伝達系抑制薬膀胱内投与の有効性の検証は,本年度は対象症例がなく,次年度に継続検討することとした.
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