研究概要 |
間質性膀胱炎 (IC) は、現在のところ明確な病因は特定されていない。潰瘍型IC患者の生検膀胱粘膜を分子生物学的に解析することにより、その病因および診断方法としての特異的バイオマーカーの探索を行ってきた。膀胱粘膜の生検サンプルよりTotal RNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いて網羅的遺伝子発現プロファイルを取得した。さらにGene Springを用いて発現変動遺伝子を抽出した後、Ingenuity Pathway Analysisでネットワーク解析を行った。遺伝子の発現の有為な変動を認めたものは定量的RT-PCRで追加検討を行った。その結果潰瘍型IC群で564遺伝子がコントロール群と比して有意に変動していた。うち膀胱粘膜上皮細胞のマーカー (KRT20、Uroplakin Ia, Ib) 、間質性膀胱炎のマーカー候補遺伝子 (HB-EGF) で遺伝子発現の減少を認め、細胞間シグナルと相互作用に関する遺伝子群の増加を認めた。これらはRT-PCRにおいても同様の結果であった。以上よりこれらの変動遺伝子は間質性膀胱炎のマーカー遺伝子の候補となる可能性があるものと考えられる。
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