研究概要 |
対象は潰瘍型間質性膀胱炎患者の9例と前立腺肥大症または膀胱癌患者9例の対照群とした。膀胱鏡で観察し,肉眼的に正常な膀胱粘膜を採取した。膀胱粘膜組織よりTotal RNAを抽出し,DNAマイクロアレイを用いて,潰瘍型間質性膀胱炎患者群と対照群における遺伝子発現様式を取得した。潰瘍型間質性膀胱炎患者群と対照群と比べると41094遺伝子中564遺伝子が有意に変動した。その内訳は389遺伝子が対照群で発現量が多く,175遺伝子が潰瘍型間質性膀胱炎患者群で発現量が多かった。 有意に変動した遺伝子の関わりについて、IPA(Ingenuity Pathway Analysis)によるネットワーク解析を行った。ネットワークの有意差についてはスコア化で表示し,ネットワークの有意差がP<0.01であれば2点,P<0.001であれば3点とした。細胞間の情報伝達・相互作用,血液系の発達・機能,免疫リンパ系の発達機能に関わる遺伝子ネットワークが30点以上のスコアであった。続いて,DNAマイクロアレイまたネットワーク解析において,遺伝子の発現増加を認めたものについて定量的RT-PCRで追加検討を行った。潰瘍型ICでDNAマイクロアレイの結果と同様にCXCR3,CXCR9,CXCR10,CXCR11,および関連遺伝子(IFNγ,TNFα)の増加を認めた。CXCR3関連ケモカインに関する遺伝子は潰瘍型間質性膀胱炎におけるバイオマーカーとして有用である可能性が示唆された。
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