研究概要 |
Myostatinは骨格筋特異的に発現するTGF-βファミリー分子であり、骨格筋の増殖を強力に抑制する因子である。本年度はヒト外尿道括約筋におけるMyostatinの発現と増殖におよぼす作用機序について検討した。 【方法】前立腺全摘時に微量採取したヒト外尿道括約筋を採取し、Neural cell adhesionmoleculeをマーカーとしてヒト外尿道括約筋衛星細胞を分離培養し、SV40T抗原を遺伝子導入して長寿化した。この細胞を用いてMyostatin、follistatin添加時における細胞増殖試験、またWestern blot法によりMyostatinの発現を検討した。さらに、イソペンタンにて急速冷凍した外尿道括約筋組織を用いて、免疫染色を行い局在を確認した。 【結果】1, Myostatinによる細胞増殖抑制作用,2. 阻害因子であるFolhstatinがこの増殖抑制を中和すること,3. RT-PCRによるMyostatinの遺伝子発現,4. 蛋白レベルでのMyostatinの発現を確認した。長寿化した衛星細胞においてはWestern blot法にてMyostatinの発現を認めた。また、括約筋組織において免疫染色で横紋筋の細胞質に発現を認めた。 【考察】ヒト外尿道括約筋にはMyostatinが蛋白レベルで発現しており、Myostatinを標的とした腹圧性尿失禁の新規治療の開発が期待される。
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