研究概要 |
前立腺平滑筋細胞における細胞内伝達系の相関を明らかにするため、細胞内カルシウム濃度([Ca^<2+>]_i)変動をモニターし、反応機構を解析する実験をはじめた。標本系の作成に手間取り、表記の研究に関する研究成果はまだ論文発表に至っていないが、現在までに完了したことを列挙すると、 1.前立腺平滑筋細胞の[Ca^<2+>]_i、変動をイメージングできる標本を作製した。動物種としてはマウスよりゴールデンハムスターの方が観察しやすい標本を作製でき、今後この種を用いて実験を行う計画とした。 2.1で作成した標本周囲を、NorAdrenalin(NAd)、ATP及び各種試薬を用いて灌流し、収縮機構の違いについてリアルタイム共焦点レーザー顕微鏡(ニコンRCM/Ab)を用いて検討した。NAdもしくはATP刺激によって前立腺平滑筋細胞の[Ca^<2+>]_i変動を認めた。この[Ca^<2+>]_i上昇のパターンは両者で異なっており、NAd刺激では一過性の[Ca^<2+>]_i上昇を認めたのに対し、ATP刺激では[C^<2+>]_iの律動的変動を認めた。細胞外Ca^<2+>がない条件下では、NAd誘発性の[Ca^<2+>]_i上昇は部分的に抑制されたのに対し,ATP誘発性の[Ca^<2+>]_i上昇は完全に阻害された。 3.α1受容体antagonistのTamslosin(TAM)を存在下でのNAdおよびATPによる刺激では、NAd誘発性の[Ca^<2+>]_i、上昇は完全に阻害されたのに対し,ATP誘発性の[Ca^<2+>]_i上昇は阻害されなかった。これらのことから、NAdとATPでは異なった細胞内情報伝達経路を持つ可能性が示唆された。 今後更なる受容体の反応性の相違を検討する予定である。
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