研究概要 |
本年度の研究では、STAT3と膀胱平滑筋との関連につき明らかにすることを目的とした。まず、ラット下部尿路閉塞モデルを用いてSTAT3と肥大平滑筋細胞との関連につき、in vivoでの検討を行った。さらに正常膀胱と下部尿路閉塞膀胱でのSTAT3の発現につきウエスタンブロット法を用いて比較した。 STAT3の発現と膀胱との相関関係に関する検討 ラット下部尿路閉塞モデルを作成し、膀胱重量は、術1週間後にはBOO群は215±24.8mgと偽手術群60.5±5.11mgと比べ有意に増加した。組織学的には、術1週後には偽手術群に比し、膀胱筋層の有意な肥厚を認めた。先のBOO群の組織で、免疫組織染色においてリン酸化STAT3細胞の数が偽手術群に比べ有意に増加していることが確認された。 膀胱平滑筋細胞内でのSTAT3の発現に関する検討 下部尿路閉塞モデルを用い1週間後の膀胱平滑筋内でのSTAT3,bFGF,NF-kB p65,リン酸化NF-kB p65,α-smooth muscle actinの発現につき正常膀胱とウエスタンブロットによる比較を行った。ウエスタンブロットでは、従来閉塞膀胱での発現増加が示唆されていたbFGF,NF-kB p65,リン酸化NF-kB p65,α-smooth muscle actinの発現の増加とともにSTAT3および活性化されたリン酸化STAT3の発現の増加も確認された。今後さらに、平滑筋培養に伸展刺激を加えることによる発現の変化を検討する予定である。
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