研究課題/領域番号 |
20591897
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻村 晃 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40294053)
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研究分担者 |
宮川 康 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (70362704)
高尾 徹也 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30379177)
奥山 明彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20093388)
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キーワード | 性欲障害 / 性欲中枢 / 視線解析 / 勃起障害 / 少子化 |
研究概要 |
性欲は本能の一つであり極めて重要であるが、ヒトの性欲中枢についてはこれまで十分に解明されたとはいえない。さらに、性的関心度については客観的に評価された研究がほとんど存在しない。我々はこれまで、前者については、性的刺激ビデオを視聴覚することで活性化される性欲中枢部位をPET撮にて特定し、後者については性的刺激ビデオを視聴している最中の視線をリアルタイムに追跡する装置を用いた解析で、性的刺激度が強いビデオにおいては性的関心領域に性差が存在することを明らかにしてきた。本年度は、男性における性的関心度に人格が影響するかについて詳細に検討した。性的関心領域の評価は性差解析に有用であった解析方法、すなわち肢体障害者の意思伝達用に開発されたQuick Glance2TM(Eyetech Digutal System Inc., Mesa, AZ USA)と、独自に開発した視線追跡ソフトを用いて行った。人格評価は、550問の質問を二者択一で答えることで、10項目の人格および行動特徴(心気症、抑うつ、ヒステリー、精子病的催奇、男子性、パラノイア、神経衰弱、精神分裂、軽躁病、社会的内向性)を数量的に評価可能なミネソタ多面人格目録(Minnesota Multiphasic Personality Inventory ; MMPI)を用いた。まず30名の性的に健康な男性被験者(35.2±4.2歳)を対象に人格評価を行い、10項目いずれも標準的なスコアを示すことを確認した。次に、性的刺激ビデオで女性の裸体を視た割合と各人格スコアの相関を解析したところ、パラノイア、神経衰弱、社会的内向性において、有意な負の相関を確認した。さらに、10項目の人格スコアを多変量解析することで、最終的に社会的内向性のみが女性の裸体を視る割合と負の相関を示すことを見いだした。この知見は、男性の性欲低下に対する診療に役立つものと推測された。
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