研究課題
精子無力症の原因究明は申請者のライフワークである。現在までの検討でSemenogelin (Sg)を抗原として精子運動抑制因子(SPMI)部位を認識するモノクロ0ナル抗体を作製し、免疫組織学的手法を用いた実験より運動性の良好な精子の細胞膜にはSPMIは付着せず、運動性が不良な精子の細胞膜が障害された部位にSPMIが結合することが観察されたことから、何らかの情報伝達系が働き、精子運動をブロックしていることが示唆された。そこで本年度は、SPMIが運動不良な精子細胞膜を通過するのか、あるいは、もともと運動不良な精子細胞膜内にSPMIが存在するのか免疫電顕による検索を行った。研究協力者である千葉大形態形成学年森清隆教授らの協力を受け、結果をよりクリアにするため検体作製過程で起きるアーチファクトを最小限に留める工夫を検討しているものの、検討に充分量の運動不良精子を得ることの困難さなどもあり、結論を導き出すには至らなかった。また昨年度の実績報告書に記述したように、精子に対するSg結合性をフローサイトメトリーで解析し、精子無力症の診断パラメータとして有用であることを明らかにしてきた。そこで本年度は、不妊カップルの男性において同様の検討を行い、生殖補助医療における受精率や妊娠率の予測因子となり得るのかを検討した。研究協力者である木場公園クリニック(吉田淳博士)において同測定のための基礎検討を行い、設備の異なる他施設においても同様な測定結果が得られるようセッティングを完了した。その後不妊カップルの精子SPMI結合率および結合量を測定し、それらの値と受精率や妊娠率との関係を観察しているが、まだ症例数が少なく引き続き検討中である。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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