研究課題/領域番号 |
20591899
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岩本 晃明 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (60046117)
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研究分担者 |
吉田 薫 桐蔭横浜大学, 先端医用工学センター, 講師 (70398973)
吉池 美紀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (60398964)
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キーワード | 精子 / 精子運動抑制因子 / 精子無力症 / 検査法 |
研究概要 |
平成20,21年度の研究成果として、精子へのSemenogelin(Sg)の結合性が精子無力症の診断パラメータとして有用であることを明らかにし、その成果がUrologia Int(2010)に掲載された。フローサイトメトリーによる精子へのSg結合性のカットオフ値をSPMI結合率55%以上かつ結合量450以上と設定しこのカットオフ値が妊娠の予測因子となり得るのかを検証するため、不妊カップルの精子SPMI結合率および結合量を測定し、その値と顕微授精による受精率を検討した。その結果、精子運動率とSg結合能、結合率は負の相関を有し、さらに受精率とも負の相関があることを明らかにした。次に、抗Sg抗体を用いて運動不良精子のみならず機能不良と考えられる精子を吸着・排除し超選択的に受精に適する良質精子のみを選別する方法の開発に着手した。磁性ビーズを用いた検討では精子を捕捉することはできなかった。マイクロ流体チップに精通している共同インターナショナルの下木原博士らと共同で良質精子選別デバイスの予備実験を行なった。抗Sg抗体をマイクロ流体チップの流路に固定する前検討として精子をマイクロチップに流せるかを検討中であるが、精液の粘度が問題となり細い流路に精液を流すことが困難であることが判明した。今後は流路に流す前の簡便な精子洗浄処理法を検討する。またマイクロ流体チップを用いて男性不妊症自宅診断テストキット、すなわち患者自身で精子の存在の有無を知りえるようなキットの開発を目指す。H22年度の成果として、Sgの結合性と受精率の関係を見出したことから、従来の検査法である精子運動率測定の問題点とされる射出後の時間や検者間差に影響されない新規マーカーとしての応用が期待される。
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