我々がこれまでに明らかにしてきたデータからは、60歳以上または高血圧を伴う50歳台ドナー(ECD)から心停止下に摘出されて多施設にて移植された腎臓を後ろ向きに多変量解析をした結果ではレシピエントの年齢はドナー高血圧や、温阻血時間と同様に移植腎生着に対する独立危険因子であることが判明している。心停止下高齢ドナー腎を若年者へ移植した場合、予後に有意の差が出ることが考えられ、公平性の上からも若年レシピエントに対しては若年ドナーからの腎臓を優先的に配分すべき根拠になる可能性がある。本研究は昨年までに引き続きドナーの拡大と限られた提供腎を有効に利用するために、特に高齢ドナーからの心停止下提供腎を公平かつ有効に利用するためのレシピエント条件を明らかにして新たな配分ルールを提示すること、加えて新たなドナーソース拡大の可能性を検討することを目的とする。
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