研究概要 |
ヒト無精子症原因遺伝子を複数同定し、精子形成メカニズム、特に減数分裂過程のメカニズムを解明することを目的に、本年度はマウスで減数分裂異常による無性症をきたすRPDM9(MISETZ), CDK2, PSMC3IP遺伝子に着目し、減数分裂異常による無精子症患者18名とコントロール群300名を対象として検討した。 1. RPDM9のmutation解析を施行し3つのcoding single nucleotide polymrphism(SNP1, 2, 3)を同定した。Genotypeおよびアレルの出現頻度の解析を行ったところ, 無精子症患者とコントロール群の間にSNP2とSNP3において有意差が認められた(p<0.05)。SNP3のメチレーション解析を行ったが、正常とバリアントの間に差は認められず, RPDM9のSNPの精子形成に関する役割の解明にはいたらなかった。 2. CDK2, PSMC3IP遺伝子の検討では、各々1つのSNPを認めたが、いずれのSNPにおいても無精子症患者とコントロール群の間にgenotype, アレルの出現頻度に有意差は認められなかった。 今回の成績からRPDM9で同定されたSNPの機能は十分に解明できない結果であったが、ヒト精子形成過程、特に減数分裂に重要な役割を担っている可能性が示唆された。 今後新たな無精子症関連遺伝子群の同定、および、同定された遺伝子の精子形成に関する機能解析を行う予定である
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