研究概要 |
ヒト無精子症に関連する遺伝子群を同定し、精子形成メカニズム、特に精子形成時の減数分裂過程の異常を解明することを目的に、今年度はSPATA17遺伝子およびLMTK2,PARP-2遺伝子に着目し減数分裂異常による無精子症患者と正常精子形成を有する対象群と比較検討を行った。 1)18名の減数分裂停止による無精子症患者、20名のsertoli cell only患者、96名の健常者に関しSPATA 17遺伝子に関し検討した結果、無精子症患者のSPATA17遺伝子にmutationは認められなかったが、3個のSNPを認め、そのうちのSNP3のアレル頻度は減数分裂異常による無精子症患者で有意に高率であり、SPATA17遺伝子はヒトの造精機能に関与することが明らかとなった。 2)LMTK2およびPARP-2遺伝子のmutation解析によりLTMK2には9個のSNPを、PARP2には5個のSNPを認めた。LMTK2のすべてのSNPには無精子症とコントロール間のアレル頻度に差は認められなかった。 PARP2のSNP1のアレル頻度は患者群で有意に高く、ハプロ解析ではSNP1-4で有意に患者群で高率である結果より、PARP2遺伝子はヒト精子の減数分裂に強く関与することを明らかにした。 今回の成績からSPATA17およびPARP-2遺伝子は精子形成とくに減数分裂に重要な役割を担っていることが明らかとなった。今後はさらなる精子形成に関与する遺伝子群を同定し、機能解析を行う予定である。
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