研究概要 |
ヒト無精子症に関連する遺伝子群を同定し、精子形成メカニズム、特に精子形成時の減数分裂過程の異常を解明することを目的に、これまでLMTK2,PARP2遺伝子は、ともにヒト減数分裂異常による無精子症に関連すること、また、ヒト精巣を用いたマイクロアレイ解析により同定された遺伝子の一つであるSPATA17の解析では、3カ所のSNPを認め、SNP3のアレル出現頻度は無精子症患者で有意に高率であることから、SPATA17遺伝子も減数分裂異常による精子形成障害に関連することを明らかにした。 本年度は、減数分裂異常による無精子症患者,セルトリ細胞症候群および正常精子形成群を対象としてSEPTIN12遺伝子に着目し3群間の比較検討を行い、以下の結果が得られた。 SPATA17遺伝子と同様に、ヒト精巣を用いたマイクロアレイ解析により同定された遺伝子の一つであるSEPTIN12遺伝子の解析ではmutationは認められなかったが、8カ所のSNPを認め、SNP3,4,6のアレル出現頻度はセルトリ細胞症候群患者で他の群と比較し有意に高率であり、ヒト精子形成に関与することが示唆された。今回の成績からSEPTIN12遺伝子は精子形成に重要な役割を担っていることが明らかとなり、今後はこれらの遺伝子の精子形成に関与するメカニズムを明らかにしたいと考えている。
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