研究課題
基盤研究(C)
妊娠の成立と維持における胎盤炎症反応系の役割に関する研究として、トロホブラスト上のCD1d抗原と、リゾリン酸(LPA)系に注目して検討した。その結果、CD1d抗原については、妊娠初期胎盤の未分化なトロホブラスト上のCd1d抗原が、絨毛外トロホブラスト(EVT)に分化するにつれて発現が減弱する現象は、自らの分泌するトランスフォーミング増殖因子ベータ(transforming growth factor-beta(TGF-beta))により誘導されていること、CD1d抗原が提示するフォスファチジルセリン(phosphatidylserine(PS))に結合したベータ2糖タンパクI(・_2glycoproteinI(・_2GPI))を、・_2GPI依存性抗リン脂質抗体が認識することにより、トロホブラストからのインターロイキン(interleukin)-12分泌が促進され、胎盤における過剰な炎症反応が誘導されて、流産が発症する可能性を示した。また、リゾリン酸(LPA)系については、トロホブラストがLPA産生酵素として最も重要なオートタキシン(ATX)を発現していること、その発現が妊娠経過とともに促進されていること、切迫早産患者で血中濃度が上昇していることを明らかにし、LPAが妊娠の生理と病理に関与している可能性を示した。
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Am J Reprod Immunol 62
ページ: 90-95