研究概要 |
【目的】子宮内膜症(EM)では、病巣で特定のproteinase産生が亢進することにより、その受容体であるproteinase activated receptor(PAR)2が活性化され、IL-6産生などEMの進展を促進する反応が惹起される。一方、EMではtransfoming growth factor beta(TGFβ)が病巣で増加することが報告されている。我々はこれまで不明であったPAR2発現制御におけるTGFβの作月1について検討した。【方法】倫理委員会の承認を得、文書同意の下、卵巣子宮内膜症性嚢胞からEM間質細胞(ESC)を分離培養し実験した。まずESCをTGFβ,IL-1β,TNFαにて刺激しPAR2mRNA発現をRT-PCRで測定した。次にTGFβ(0,1,5,10ng/ml)で24H刺激後、PAR2活性化のためPAR2 agonist peptide(PAR2AP)30「Mを24H添加し、上清中のIL-6をELISAで測定した。またSB431542(TGFβ typel受容体阻害剤)10「M前投与後に同様にIGFβ、PAR2AP刺激後のIL-6を測定した。最後にPAR2siRNA導入によりPAR2発現を抑制し、同様にTGFβ、PAR2AP刺激後のIL-6を測定した。【成績】TGFβのみPAR2発現を増加させ、6時間においで最大3.2倍にPAR2mRM発現を増加させた。TGFβ前投与なしではPAR2AP添加は無添加に比しIL-6産生を2.8倍としたが、TGFβはこの比を濃度依存的に増幅し、10ng/mlでは5.1倍とした。SB431542はTGFβ投与によるPAR2mRM増加、PAR2AP添加によるIL-6産生の増強効果を抑制した。PAR2smRNA導入によりPAR2APによるIL-6産生の増加、TGFβ前投与によるIL-6産生の増強作用はともに消失した。【結諭】EMにおいてTGFβはESCのPAR2発現を促進し、proteinaseによるIL-6産生を増強することによりEMを進展させることが示唆された。
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