研究課題/領域番号 |
20591910
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
平田 修司 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (00228785)
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研究分担者 |
深澤 宏子 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (60362068)
正田 朋子 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (50345716)
多賀谷 光 山梨大学, 医学部附属病院, 診療助教 (50418711)
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キーワード | 体細胞核移植 / クローン胚 / ステロドホルモン受容体 / プロモーター解析 / ntES細胞 / 多重プロモーター機構 / 初代培養 / ドナー細胞核2 |
研究概要 |
性腺から分泌されるエストロゲン、プロゲステロンならびにアンドロゲンなどの性ステロイドホルモン(SH)は、標的組織の細胞(標的細胞)内に局在するそれぞれのリガンドに対する受容体、すなわちSHRに結合して、細胞の遺伝子発現の変化を惹起し、ホルモン効果を発現する。また、それらの性ステロイドホルモン受容体(sexsteroid hormone receptor;以下、SHR)の遺伝子発現の発達段階ならびに組織特異性は、多重プロモーター機構によって規定される。しかしながら、性ステロイドホルモンの作用を理解する上で、このSHRの多重プロモーターによる遺伝子発現調節機構を解明することが不可欠であるが、現在未解明な点が少なくない。本研究では、多重プロモーターの活性調節機構について体細胞核移植技術を用いた新しい解析方法を確立し、SHRの発達段階ならびに組織特異的遺伝子発現の調節機構を明らかにしようとするものである。本年度は、まず、体細胞核移植技術(SCNT)よる再構成胚の作出とntES細胞の樹立法について検討した。卵丘細胞ならびに毛根由来細胞を核のドナーとした。マウスより未受精卵を採取し、サイトカラシンBを含む培養液中で「除核」(紡錘体の除去)を行い、ドナー細胞核を除核卵に顕微注入し、得られた再構成胚を活性化し、初期発生を誘導した。桑実胚に達した後にフィーダー細胞(STO細胞)上に移し、さらに培養を行ってntES細胞を樹立した。本年度の研究により、SCNTによるntES細胞の樹立系が確立された。さらに、再構成胚の発生に及ぼすエピジェネティク薬剤の作用について検討を行った。その結果、再構築胚の発生を促す効果を持つことが明らかにされているヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)のより効果的な投与方法を確立した。 以上の本年度の研究の遂行により、本研究のテーマであるマウスERα遺伝子プロモーターの活性調節機構が、核のリプログラミングによってどのように変化するのかを解析するための基本的方法論が確立できた。来年度は、この方法論を用いて、ERα遺伝子プロモーターの活性の調節について解析を行う。
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