平成20年度に我々が新たに開発した亜鉛コブロボルフィリン(ZnCP-I)の大量合成法を用いて得た合成ZnCP-Iについて抗体の作成を試みたところ、ZnCP-Iに対する抗体を産生するいくつかのクローンを得ることができた。これらクローンより得た抗体で、ヒト卵膜などの血清学的研究により、新たな情報を得つつある。 平成15年8月から、日本産婦人科医会からの委託を受け開始した羊水塞栓症血清検査全国登録事業により測定した、羊水塞栓症あるいは羊水塞栓疑い患者血清中の数は、平成22年度は138検体で、平成15年の開始時からの総計は471検体になった。 羊水塞栓症血清検査全国登録事業で送られてきた血清には様々症例が見られ、それらのSTN、ZnーCPI、IL-8、C3、C4等の検査データが蓄積されつつある。これにより、羊水塞栓症をはじめとした、産科領域での種々疾患のリスクファクターを抽出することが可能になり始めている。 血清中のZnCP-Iの測定で、ウォーターズ社のμbondapak C18 Radial-Pakを用いてきたが、すでに製造中止になっており、在庫がなくなる時点で測定が不可能になる。そこで新規測定法の検討を開始した。ZnCPーIは、酸素の共存下、光があると一重項酸素を放出し、極めとを明らかにした。羊水塞栓症血清検査全国登録事業のためにも、血清中のZnCP-Iの新規測定法の開発が急がれる。
|