研究概要 |
施設内倫理委員会の承認を得て研究を開始した。昨年までの研究にて、正所性子宮内膜間質細胞および子宮内膜症間質細胞で、Neutral endopeptidase (NEP)およびCD44 (hyaluronan receptor)が発現していること、NEP発現はプロゲステロン依存性に増強すること、CD44依存性のヒアルロン酸への細胞接着が、NEP発現の増強によって減弱することを見出した。 これらはCD10がCD44-ヒアルロン酸結合を阻害していることを示唆しており、今年度はそのメカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。CD44とCD10は、細胞骨格F-actinと膜タンパクとのリンカータンパクであるEzrin/Radixin/Moesin (ERM)と結合することが知られているため、ERMとCD10, CD44との結合を免疫沈降法にて確認した。 ERM-CD10, ERM-CD44はそれぞれ免疫沈降にて共沈し、CD10の発現増加によりERMと共沈するCD44は減少した。またcell free in vitro binding assayにて、CD10の細胞内ドメインとERMの直接の結合を確認した。以上の結果から子宮内膜および内膜症間質細胞のCD10の発現が内膜症の進展をプロゲステロン依存性に抑制している可能性が示唆された。 今後は、CD10発現誘導が子宮内膜症治療のターゲットと成り得るかどうかを検証するため、CD10発現を誘導できる物質の同定やCD10発現増強メカニズムを解析する予定である。
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