研究課題/領域番号 |
20591912
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩瀬 明 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20362246)
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研究分担者 |
後藤 真紀 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90378125)
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キーワード | 子宮内膜症 / 間質細胞 / NEP / プロゲステロン / CD44 / 細胞接着 / ERM / デキサメサゾン |
研究概要 |
昨年までの研究にて、正所性子宮内膜間質細胞および子宮内膜症間質細胞で、Neutralendopeptidase(NEP)およびCD44(hyaluronan receptor)が発現していること、NEP発現はプロゲステロン依存性に増強すること、CD44依存性のヒアルロン酸への細胞接着が、NEP発現の増強によって減弱すること、この効果はNEPがCD44と細胞内骨格Ezrin/Radixin/Moesin(ERM)との結合を競合的に阻害することに起因することを見出した。 今年度は、さらにNEPとPTENの結合を免疫沈降にて確認した。NEPのプロゲステロンによる発現誘導により、PTENの結合量は増加したが、PTENが抑制的に関与しているPI3K-Akt経路(Aktのリン酸化)は変化しなかった。このことより、NEPとPTENの結合が、細胞増殖などへ影響を及ぼしている可能性は少ないことが推測された。 研究のターゲットを、NEP発現によるCD44依存性細胞接着の抑制に絞り、NEP誘導を起こす物質の探索および細胞接着抑制効果を検証した。NEPのプロモーター領域androgenresponsiveelementに作用する可能性のあるテストステロンとデキサメサゾンを検討したところ、両者でNEPの誘導がみられた。デキサメサゾン刺激によるNEP発現誘導は、プロゲステロン同様にCD44依存性の細胞接着を抑制したが、その作用はプロゲステロンには及ばなかった。性ステロイドではないデキサメサゾンが子宮内膜症治療薬として使用できるならば、現在の薬物療法と異なり、妊娠可能状態での子宮内膜症治療を可能にする。本研究成果は、その端緒と成り得るものであった。今後は更なるNEP発現の増強方法を探索する予定である。
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