研究概要 |
CRPは一般的に炎症マーカーとして知られているが、虚血性脳卒中や心疾患の予後の関係からはCRPが病因として関わっているかもしれないことを示唆されている。成獣ラットの動物の冠動脈を結紮し心筋梗塞モデルを作成、ヒトCRPを投与するとコントロール群にくらべ梗塞範囲が40%拡大した。われわれは胎児脳でも同様に感染によって上昇するCRPが脳障害に結びつくかどうかを研究した。 ヒトCRPを新生仔ラットの腹腔内に投与し、続いて胎内で起こりうる虚血状態のモデルを作成するため、左頚動脈を結紮切断した。なお、コントロールとして、ヒトアルブミンを投与したラット、溶液のみを投与したラットも同様に作成した。8%の低酸素下に20分間暴露し、その後4日目に脳障害の程度をMAP-2(神経細胞に対する抗体)にて染色して比較した。同時にELISAによってラット血中のヒトCRP,ラットCRP,IL-6を測定し、3群でヒトCRPのみが濃度が異なることを証明した。ヒトCRPの血中濃度は胎内感染で上昇する程度の濃度であった。MAP-2染色ではCRPヒトCRPを投与したラットでは脳障害が3割程度起きたのに対し、他群では1割程度の脳障害しか起きなかった。 臨床でも十分にありえるCRP血中濃度の上昇によって、新生児低酸素性虚血性脳障害り範囲が拡大し、CRPが炎症のマーカーとしてだけでなく、脳性麻痺の原因としての役割があることが判明する。
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