研究課題/領域番号 |
20591914
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金川 武司 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40346218)
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研究分担者 |
冨松 拓治 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30346209)
谷口 友基子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60423175)
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キーワード | 新生児脳障害 / 胎児付属物 / 臍帯血管内皮細胞 / 可溶性fms様チロシンキナーゼ(sFltl) / 可溶性エンドグリン(sEng) / β-ラクタム抗生剤 |
研究概要 |
新生児脳障害の有効な治療としては、過去にわれわれが報告したような低体温療法しかなかった。しかし、これは脳障害の進行を抑えるための治療法であって、一旦完成してしまった脳障害に対しては無力であった。そこで、われわれは新しい治療法として、神経再生による脳障害治療法を模索した。その神経再生の中核をなす神経幹細胞の源として胎児付属物(胎盤、臍帯、羊膜)における間葉系幹細胞の利用を試みた。本年は、臍帯血管内皮細胞(HUVEC)が幹細胞源として有効利用するために必要な増殖因子についてさらなる検討を行った。その検討では、新生児脳障害の原因として知られる妊娠高血圧症候群とHUVECの発育に関し、抗炎症物質であるニコチンによって、HUVECの発育阻害を減弱できる可能性を見いだした。また、このメカニズムはIL-6を介してや炎症の中心的な役割をなすNF-κBが、胎児脳障害において、また、臍帯血管内皮細胞の増殖効果において関与していた。また、可溶性fms様チロシンキナーゼ(sFltl)や可溶性エンドグリン(sEng)もこれらの制御に関与していることを報告した。 他に、脳障害予防の観点からも今回は新たに検討した。すなわち、β-ラクタム抗生剤によって前治療された新生仔ラット群および、そうでない群(コントロール)に分けて、低酸素虚血性脳障害モデルを作成した。結果は、β-ラクタム抗生剤によって前治療された新生仔ラット群の方が脳障害が減少した。これは、β-ラクタム抗生剤により、脳障害の軽減に必要なグルタミン酸トランスポーターが誘導されためであることを解明し、この点について学会で報告した。
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