【目的】視床下部ペプタイドPACAP (Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)は下垂体前葉細胞において細胞内cAMPを上昇させる事で様々な生理的作用を持つ事が知られている。PACAPのゴナドトロピンサブユニット(α、LHβ、FSHβ)発現および受容体発現に対する効果、GnRHに対する影響について検討した。またPACAPの刺激頻度依存性ゴナドトロピン特異的発現の有無について検討した。【方法】ゴナドトロピン産生細胞のモデル細胞としてLβT2細胞を用いた。PACAPによるゴナドトロピンサブユニット及びGnRH受容体発現はルシフェラーゼベクターを用いたプロモーターアッセイで評価した。PACAP受容体発現の変化はリアルタイムPCRを用いて測定した。刺激方法として静止刺激及びPerifusion systemを用いたパルス状刺激を行った。【成績】PACAPは全てのゴナドトロピンサブユニットを有意に増加し、中でもαサブユニットを著明に増加させた。PACAPの存在下でGnRHによるゴナドトロピンサブユニット発現は増強された。PACAPはGnRH受容体を、GnRHはPACAP受容体発現をそれぞれ促進した。PACAP刺激においてもGnRHと同様に高頻度刺激ではLHβ、低頻度刺激ではFSHβサブユニットが優位に発現し、頻度依存性発現が認められた。【結論】PACAPもGnRHと同様にゴナドトロピンサブユニット発現能を持ち、GnRHの作用を増強すること、PACAP及びGnRHは互いの受容体発現を促進することが明らかとなった。GnRHと同じく、PACAPは刺激頻度依存性サブユニット発現作用を有することが示された。
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