研究概要 |
ラットの妊娠子宮において,妊娠日齢に応じてATP感受性非特異性陽イオンチャネル(NSCC)のうちP2X4とP2X7のmRNAおよび蛋白レベルでの高発現が認められた。ラット妊娠子宮の子宮平滑筋細胞におけるNSCC電流と、P2X7をCOS7細胞に再構成した時に得られる電流の比較から、ラット子宮平滑筋のNSCC電流はP2X7受容体が機能的主体となって運んでいることが示唆された。この受容体はCa^<2+>を流入させ、陣痛の引き金となることが考えられる。本研究においてはLPS(lipopolysaccharide)を用いた炎症を伴う早産モデルでP2X7受容体の発現が著明に亢進することが示され、炎症を誘因とするこの受容体の機能亢進が早産の発生機序のひとつである可能性が考えられた。これらの成果は今後の早産の発症機序の解明、予防法ならびに治療法の開発に寄与するものと考えられる。
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