4名のFTM(female to male transsexuals)症例に対して男性ホルモンを1年以上投与し、その後性適合手術を施行した症例について、以下のデータが得られた。 身体的変化) 髭の増長、下肢の多毛、陰核肥大、声の低音化が例外なく認められた。膣壁は委縮している印象だった。体重は増加している傾向があった。ヘマトクリットが男性レベルに上昇していた。 内分泌学的変化) 血中testosteroneの著増は当然のこととして、LH、FSH、Prolactin、estradiol値に著明な変化はなかった(つまりLH>FSHへの変化の例は多くはなかった)。 耐糖能関係の変化) 血中adiponectinは有意の低下していた。FBS、インスリン値は期待ほどの変化はなくインスリン抵抗性は出現した例はなかった。 卵巣の組織学的変化) 卵巣容積は減少している印象だった。HE染色では、PCOS様に小卵胞が増加している症例もあった。間質の増成と閉鎖卵胞が多い症例の頻度が高い印象だった。 *今回の症例は、男性ホルモンの投与期間が症例によって大きな開きがあり、症例を増やせば投与期間による、その効果の違いが明らかになるかもしれない。
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