研究課題/領域番号 |
20591923
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
錫谷 達夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40196895)
|
研究分担者 |
金子 久俊 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90360007)
石岡 賢 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50305356)
|
キーワード | 腟正常細菌叢 / 細菌性腟症 / カンジダ性腟症 / t-RLFP / real-time PCR |
研究概要 |
培養を基盤とする微生物検査では、培養法が確立していない菌や検査対象になっていない菌は検出できない。また、常在細菌が病原菌となっている場合には常在細菌叢を構成する菌の比率が重要となるが、現在の検査では菌数を定量的に解析していない。そこで本研究では、ほとんどの細菌・真菌のDNAを増幅するプライマーを用い、福島県立医科大学附属病院産婦人科を受診しインフォームドコンセントが得られた外来患者の腟常在細菌叢を定量的に解析した。 細菌叢中の菌種を同定することは困難であったが、Lactobacillus属を主体とする健康な菌叢であるか、Gram陰性桿菌が多数存在する細菌性腟症の時に見られる菌叢であるかは、PCR産物をterminal restriction fragment length polymorphism (t-RFLP)解析することによって容易に判定できた。しかし、本研究で解析した検体が子宮癌の検診時に採取されたものが多く、腟症の症例が少なかったことや高齢者が多く、常在菌叢がほとんどない例が多かったため、この検査法の臨床的な意義は充分に解析できなかった。 真菌の解析では、医師がカンジダ性腟炎と診断した例でもカンジダの菌数が非常に低い例や、逆に非常にカンジダの菌数が多いにもかかわらず全く症状がない例が存在するなど、この疾患の診断の難しさが明らかとなった。今後、病原性の高い菌株が存在する可能性、同じ菌株でも生活環の時期によって病原性が変化する可能性、真菌に対して過敏に反応する宿主がいる可能性などを腟炎や腟症患者が多数受診する市中の産婦人科医院との共同研究で明らかにしたい。
|