研究概要 |
1.低分子STNを含めた胎便・羊水特異物質の測定法の確立:胎便中低分子STN測定法の確立とし、0.5%胎便溶解液に2.5%W/V濃度のtrypsinを添加し30分培養した。Trypsinにより胎便溶解液中のSTNを含むムチンは、低分子化したSTNに分解されることを予測し、2.5%および15%のpolyacrylamid gelを用いて電気泳動を施行した。低分子化されたSTNを、STNに対する5種類のモノクローナル抗体(TKH-2,CC49,B72.3,CA54.CA61)を用いてWestern-Blot法を施行した結果、60kD,25Kd,15kDの低分子STNに分解されることが確認された。さらに、これらの低分子化されたSTNが、既存のSTNを認識する5種類のモノクローナル抗体のうち、どの抗体に感度・特異度に関して良いか検討した結果、TKH-2抗体とMA61抗体の2種類が候補となった。従来のTKH-2抗体1種類を用いたRIA法より、簡易測定キットの作成を計画するにあたり、2種類の抗体によるサンドイッチ法を用いたほうが感度および簡便性に関しても優れている。 2.基礎データづくり:羊水塞栓症における本邦の診断基準は、診断基準案(2004年に羊水塞栓症診断における血清検査事業時の登録基準)であり、正式には存在しない。本邦独自の診断基準を考慮しようと考えると、やはりUSAの診断基準を無視するわけにいかないため、この基準をベースとした日本独自の方式を考慮するのが良いと考えている。現在考慮中の診断基準は、USAの診断基準を少し改良したものである。対象症例は、1992年から2006年までに羊水塞栓症とし登録された135症例である。これら症例を解析ソフトSPSS15.0Jに入力し統計を実施した。診断に使えるデータ項目と、予後因子を調査中である。調査する項目は26項目に限定し、死亡した場合と生存した場合をx^2検定により予後因子を検討している。
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