研究概要 |
【予後スコアの作成】 1992年から2006.年までに登録された羊水塞栓症データ135例(生存例70例、死亡例65例)を用いて、致死的因子(A【有意差P<0.001:経膣分娩、STN 47U/ml以上、心停止、呼吸困難】,B【有意差0.001≦P<0.01:意識消失、満期産、経産婦】,C【有意差0.01≦P<005:IL-8 100pg/ml以上】)の各症例における存在割合により、死亡率が変化するかを検討した。致死的因子を含む割合が0-29%、30-59%、60-79%、80-100%における症例の死亡率は、それぞれ、0%、28.5%、70%、91.4%であり、致死的因子を含む割合が60%以上の場合、その症例が死亡する確率は極端に上昇した。有意差が大きな因子をそれぞれ2倍(致死的因子B)および4倍(致死的因子A)に加点した場合、死亡率は3.4%、26.2%、72.2%、96.4%となり、その傾向は更に強くなった。羊水塞栓症発症例において、致死的因子を含む割合をみることが、救命の指標となり、またさらに、致死的因子を有意差別に加点した予後スコアの作成が、本症における訴訟という社会的な問題を解決する一つの方法になる可能性も示唆された。 【症状別解析】 われわれは、羊水塞栓症は、多種の原因が混在した症候群として捉えている。今後は、本症候群を臨床症状よりクラシック型(肺血管閉塞型)、DIC型、アナフィラキシー型の3型に分類して解析を進める。
|