アミノレブリン酸メチルエステル塩酸塩(Methyl-ALA)とクロフィブリン酸(CA)の同時併用療法による癌性腹膜炎モデルでの抗腫瘍効果の検討を行った。DISS細胞(1x10^6細胞数)を腹腔内に移植して得られた癌性腹膜炎マウスでは、生存期間中央値26日のコントロール(光線のみ)群に比べ、Methyl-ALA ip+3時間後腹腔内に光照射(Irradiated Methyl-ALA ip)群とIrradiated Methyl-ALA ip+0.3%CA群で有意な生存期間の延長が得られた。しかしIrradiated Methyl-ALA ip群とIrradiated Methyl-ALA ip+0.3%CA群では生存期間に明らかな差は認められなかった。 さらに2x10^6細胞数のDISSをヌードラットに腹腔内移植し、移植後10日目に腹腔内腫瘍摘出(Debulking surgery、DS)を行った。60日間の観察で平均生存期間はDSのみでは35.5日であったのに対し、DS+Irradiated Methyl-ALA ipでは46.3日(p=0.08)、DS+Irradiated Methyl-ALA ip+0.3%CA投与では52.3日(p<0.005)であった。DS+Irradiated Methyl-ALA ip群とDS+Irradiated Methyl-ALA ip+0.3%CA群間では統計学上有意差はなかった。 Irradiated Methyl-ALA ipによって癌組織の壊死性変化とともに、アポトーシスの誘導と血管新生阻害が明らかに増加しており、それらがPDTの抗腫瘍効果の機序として考えられた。
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