静脈血栓塞栓症(VTE)は婦人科悪性腫瘍手術後に発生する致命的合併症であると共に卵巣がんや子宮体がんでは治療開始前にVTEを発症している患者と遭遇する事がある。我々は術前検査に血漿D-dimerの測定を導入し1.5μg/ml以上の患者に下肢静脈血管超音波検査(VUI)を行い術前不顕性VTEの発見に努め術後致命的VTE発症予防を行っている。本年度は2004-2007年に171名の子宮体がん患者の結果を解析した。17名(9.9%)に治療前DVTを発見し、この内8名(4.7%)は既に肺塞栓が生じていた。抗凝固療法、術前化学療法の選択、下大静脈フィルターの挿入などの対策により、DVTを発見した17名中手術を行った14名に術後顕性VTEの発症はなくDDを用いた術前不顕性VTE発見と適切な対応は術後致命的VTEの発症予防に有効であった。
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