研究課題/領域番号 |
20591941
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
長田 亮介 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (80418722)
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研究分担者 |
堀内 晶子 信州大学, 医学部, 講師 (80334895)
大平 哲史 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (90397315)
塩沢 丹里 信州大学, 医学部, 教授 (20235493)
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キーワード | 卵巣癌 / HIF / VHL / INT6 |
研究概要 |
卵巣癌は女性生殖器に発生する悪性腫瘍のうちで最も予後不良の疾患であり、特に明細胞癌は他の組織型の卵巣癌には著効を示すcisplatin、paclitaxelなどの制癌剤に対して著しい抵抗性を示す。卵巣明細胞癌と形態学的に類似した腎臓明細胞癌の発生には癌抑制遺伝子であるvon Hippel-lindau(VHL)遺伝子の異常が深く関与していることが報告されている。VHL蛋白は酸素存在下ではユビキチンリガーゼE3の一つのサブユニットとして機能し、転写因子であるHIF(hypoxia inducible factor)の分解に関わっている。HIFにはHIF-1αとHIF-2αのサブニットが存在するが、現在のところ、HIF-1αとHIF-2αの分子生物学的機能の差異は明らかではなく、さらにその発現制御機構も不明である。最近、HIF-2αはInt6/eIF3e/p48によって調節されていることが報告されたことから、本研究では卵巣癌におけるInt6,VHLおよびHIF-αサブニット発現の意義と機能を解明することを目的とする。患者の同意を得て採取した上皮性卵巣腫瘍107例(良性18例、境界悪性17例、悪性72例)についてHIF-1α、HIF-2α、VEGFおよびCD34に対する抗体を用いて免疫染色を施行した。その結果、HIF-1α核染色は卵巣癌の病期I+II期よりもIII+IV期で発現が増強していた。HIF-2α発現は良性および境界悪性腫瘍に比べ、癌で発現が増強していた。さらに卵巣癌において組織分化度、病期と相関して発現が増強した。患者生存期間の比較では、HIF-1α核発現およびHIF-2α陽性の症例は陰性の症例と比較して有意に予後不良であった。多変量解析にて、HIF-1α核染色は卵巣癌患者の予後因子であった。また。HIF-1α核染色はVEGFとの間に正の相関関係を認めた。
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