研究概要 |
(1)H21年度に作成したヒト子宮筋腫移植モデルマウスをさらに詳細に検討した。移植子宮組織の生着にはエストロゲン補充が必要であること、子宮筋腫治療薬であるGnRHアゴニスト投与により移植組織でのアポトーシス亢進することより、子宮筋腫組織でのエストロゲン依存性が確認された。プロゲステロン補充追加により移植組織片のサイズの増大を認め、8週間で体積で約1,3倍となり、実際のヒト生体内での増大スピードと同様であることから、ヒト子宮筋腫のin vivoモデルとしての合理性が示された。 (2)PPARγを活性化し、メタボリックシンドローム改善効果が期待できるクルクミンによる子宮筋腫細胞増殖抑制効果をin vitroで検討した。クルクミンによりアポトーシス誘導亢進が認められた。子宮筋腫細胞への直接的抑制効果とメタボリックシンドローム改善効果からの子宮筋腫増大抑制効果の両面からの治療効果が期待できる。クルクミンはウコン(生薬)中の有効成分であり、膵癌患者等での臨床試験においても大きな副作用なく投与可能であることから、実際の子宮筋腫治療への応用が期待できる。上記子宮筋腫モデルを用いた経口投与実験を現在進行中である。 (3)糖尿病治療薬であるメトホルミンによる子宮筋腫細胞増殖抑制効果をin vitroで検討した。メトホルミンはインスリン抵抗性改善効果をもち、メタボリックシンドローム改善効果が期待できる薬剤である。現在のところメトホルミンによる細胞増殖抑制を認め、AMPK (AMP-activated protein kinase)の活性化とmTOR (mammalian target of rapamycin)シグナルの抑制を認めた。現在さらに詳細なメカニズムの解析を検討中である。
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