これまでの子宮内膜症に関する研究から、本疾患の遺伝的素因の存在の可能性が報告され、子宮内膜症に関連する複数の遺伝子が相互に干渉して子宮内膜症が発症するという仮説が提唱されている。そこで、子宮内膜症との関連が疑われる複数の遺伝子多型と子宮内膜症発症との関連について、日本人検体を用いて、本疾患原因遺伝子を同定する目的で、患者対照研究(case control study)をまずは行った。 日本における子宮内膜症症例ならびに健常者を対象とし、子宮内膜症との関連が予想される複数の遺伝子、TNF-beta、E-cadherin、の遺伝子多型を解析し、その出現頻度を対照群と比較した相関解析を行った。その結果、健常コントロール群と患者群の間にアリル頻度、遺伝子多型分布とも有意な差を認めなかった。子宮内膜症rAFS IV期[重症群]と健常者群との間でも同じ解析を行ったが、有意な差を認めなかった。 Transforming growth factor beta1、CYP1B1、tumor necrosis factors-beta、Interleukin-10の特にプロモーター領域の研究に関しては、PCR反応の不具合に時間を要し、現在研究を継続で、解析中である。
|