研究概要 |
本研究課題は「リガンド非依存性エストロゲンレセプター(ER)経路を有する実験材料(細胞株あるいはDES(ジエチルスチルベストロール)投与モデルマウス)を用いて、その分子基盤を明らかにし、それを標的にする新規薬剤の開発」である。平成20年度の目標は「有効な実験材料の開発」であり、下記のような成果を得た。 1.Pak1(P21activated kinase-1)はERを器質とするリン酸化酵素であり、自己リン酸化することにより活性化する。したがってPak1活性はリン酸化Pak1(Activated-Pak1)が指標となる。卵巣癌におけるPak1活性と臨床病理学的因子との関係について検討を行った(症例数98例)。 (1)リン酸化型Pak1(activated-Pak1)を用いた免疫組織学的染色を行なったところ14例(14%)が陽性であり、しかも有意に予後不良例であった(p=0.02)。 (2)Activated-Pak1陽性細胞株のみPak1に対する特異的阻害剤(Pak18)の増殖抑制効果が見られた。さらに種々の抗がん剤(epirubicin,Paclitaxel,Carboplatin)とPak18の併用効果を検討したところepirubicinのみ相乗効果が見られた。 2.出生直後から連日5日間DESをp53ノックアウトマウスに投与し、各臓器での変化、遺伝子発現の差異を調べている。 (1)♂♀ともにホモマウスにおいて通常より早期に発癌した(生後100日前後)。(現在3匹まで解析済み。いずれも悪性リンパ腫)
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