研究概要 |
本研究課題は「リガンド非依存性エストロゲンレセプター(ER)経路を有する実験材料(細胞株あるいはDES(ジエチルスチルベストロール)投与モデルマウス)を用いて、その分子基盤を明らかにし、それを標的にする新規薬剤の開発」である。平成21年度は下記のような成果を得た。 (1)昨年度ERを器質とするリン酸化酵素Pak1(P21 activated kinase-1)活性化が卵巣癌において予後不良に寄与していることを明らかにしたが、今年度はPak1の阻害剤であるIvermectinの抗腫瘍効果について検討した。その結果、Pak1の活性型であるリン酸化Pak1発現陽性の卵巣癌細胞株においてIvermectinの抗腫瘍効果を見出した。その分子基盤としてPak1-cRaf1の経路の不活性化によるものであることも併せて明らかにした。 (2)マウス出生直後にアンドロゲン(5α-dihydrotestosterone, 5α-DHT)投与を受けたマウスの膣上皮はDES投与と同様にエストロゲン非依存的にERαのAF1領域がリン酸化されていること、膣細胞の不可逆的増殖にはERαが不可欠であることを、ERαノックアウトマウスを用いて明らかにした。
|