研究課題
1. 子宮内膜症から癌化を規定する原因遺伝子の特定卵巣表層上皮細胞、Inclusion cyst、卵巣チョコレート嚢胞、卵巣癌各組織を上皮由来マーカーEMA、中皮由来マーカーCalretininと転写因子hepatocyte nuclear factor (HNF)-1betaにより免疫染色を行った。(1) 卵巣チョコレート嚢胞が癌化するときにHNF-1betaの性質を有するものから明細胞腺癌が、それ以外から類内膜腺癌が発生することが示唆された。(2) HNF-1betaの染色態度から明細胞腺癌は分泌期子宮内膜の性格を有した子宮内膜の逆流説で説明できる。2. HNF遺伝子下流領域に存在するゲノムの網羅的解析と相互作用マイクロアレイ実験により卵巣チョコレート嚢胞と漿液性嚢胞腺腫を比較したときに前者で過剰発現した遺伝子を探索したところ、鉄が誘導する遺伝子群(ストレス遺伝子、解毒遺伝子、代謝遺伝子など)と一致することが判明した。鉄による酸化ストレスが細胞障害、遺伝子障害を引き起こしている可能性が示唆された。子宮内膜症と卵巣明細胞腺癌は繰り返し起こる出血中に含まれるヘムや鉄による酸化ストレスに曝されており、DNAメチル化やloss of heterozygosity (LOH)が頻繁に起こっている。低メチル化により過剰発現したHNF-1betaにより、グリコーゲン代謝・抗アポトーシス・ストレスや解毒遺伝子の過剰発現をきたすことが判明した。
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