研究概要 |
昨年に引き続き、臨床検体の収集と臨床像の解析および子宮体癌の遺伝子解析によるMSIの検索を行なった。採取検体総数は85例となった。 1.MSI陽性腫瘍で生じるTGFβRII,、PTEN、BAX、hMLH、hMSH6、CDX2の変異部分のペプチドを合成し、変異ペプチドと患者血清を用いたELISA法によって、患者血清中の特異抗体の検出をそれぞれのペプチドで行った。しかしながら、いずれも特異抗体を検出することはできなかった。 2.新しいターゲットとしてCAGE遺伝子を検討した。我々はCAGE抗体がMSI陽性症例特異的に検出されることを報告した。CAGEのORF中にはAAAAAAの配列がある。以前、MSI-H症例でこの遺伝子領域の塩基配列を検討し、変異が認められないことを報告したが、今回はCAGE遺伝子の全配列について、シークエンスを行い、変異のホットスポットがないか検討した。15例のMSI-H症例で検討したが、アミノ酸配列の変化を伴う変異は認めなかった。 3.新たな子宮体癌抗原を検討するため、子宮体癌組織をNOGマウスに移植した。マウス血清中に増加するヒト型IgGの認識抗原をSEREX法で同定したところ、MYOEV抗原が同定された。MYOEVは子宮体癌の細胞株および組織で高発現していた。さらに、組織型で類内膜腺癌G3とG1を比較したところ、G3で有意に高発現している症例が多かった。現在、MYOEVの発現機構を解明するとともに、予後因子となりえるか解析を進めている。
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