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糖蛋白質や糖脂質の糖鎖は、細胞相互の認識や分化などの機能に関与し、さらに癌化に伴いその構造が変化することが明らかとなり注目を集めている。昨年度、我々は(1)糖脂質の硫酸化は、頸癌では腺癌あるいは小細胞癌に特徴的であること、(2)レクチンアレイを用いて体癌の分化度、子宮内膜のフェイズを区別できること、を明らかにした。本年度は、(1)頸部腺癌での糖脂質硫酸化の合成分解系の分析、(2)頸部腺癌での硫酸基転移酵素蛋白の局在分析、(3)子宮体癌におけるレクチンアレイプロフィールパターンと臨床病理学的因子との関連性についての検討、を行った。[成績](1)硫酸化糖脂質の発現を制御する硫酸基転移酵(CST)蛋白及びmRNAは腺癌においてのみ特徴的に発現しており、硫酸化糖脂質分解酵素(ASA)蛋白及びmRNAの発現は各組織型で違いは観察されないこと。(2)頸部腺癌でCSTは癌浸潤先端部分に特徴的に発現していること、(3)レクチンアレイプロフィールパターンが低分化型体癌の進行期分類によってことなること、以上のことが判明した。[結論]子宮頸部腺癌での糖脂質の硫酸化はCSTにより調整されており、癌の浸潤先端部分に局在していることから、CSTが癌の浸潤に何らかの関与していることが示唆された。レクチンアレイを用いて低分化型体癌の進行度を判別できることから、テーラメイド医療にレクチンアレイ分析を使うことができる可能性が示唆された。
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