中耳真珠腫の手術治療に用いられる自家組織の骨パテを用いた乳突充填術の安定性を検証し、充填乳突腔に真珠腫上皮が遺残した場合の術後変化について組織学的な検討を加えるため、マウスを用いて実験を開始した。 具体的には、全身麻酔下にマウスに耳後部切開を加え、中耳骨胞に小孔を開け骨胞内の骨隔壁を掻破し側頭骨から集めた骨粉を充填する乳突腔充填モデルを作成した。また、遺残性真珠腫のモデルを耳介皮膚上皮を乳突充填術後の骨胞内に留置することにより作成した。1ヶ月後、3ヶ月後に深麻酔下に潅流固定し中耳骨胞を採取、脱灰後に凍結切片を作成した。骨粉の採取はマウス頭蓋骨が菲薄なためやや困難ではあったが、以上の実験系を確立することができた。 今後はヘマトキシリン・エオジン染色による組織の形態観察、さらには免疫組織学的手法を用いて炎症細胞浸潤や各種サイトカインの発現を確認し研究を発展させていく予定である。
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