研究課題/領域番号 |
20591975
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
将積 日出夫 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学)耳鼻咽喉科頭頚部外科学, 准教授 (60187507)
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研究分担者 |
堀 悦郎 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学)システム情動科学, 准教授 (90313600)
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キーワード | サル / 強大音 / 誘発筋電位 / 外眼筋 / 球形嚢 |
研究概要 |
【目的】近年、外眼筋における前庭誘発筋電位VEMP(OVEMP)が報告され、今後の臨床応用が期待されているが、起源や神経径路について未だ不明な点が少なくない。そこで今回、OVEMPのモデル動物作成のため、強大音に応答するサル眼窩下方の誘発反応を測定した。【方法】対象は、訓練により上方固視を保持可能となった覚醒成熟サルとした。眼窩下方の頬部皮膚上に関電極および不関電極、前額部に接地電極を貼付した。不関電極は下眼瞼直下、不関電極は関電極より5mm下方に接着させた。イヤホンにて片側耳にトーンバースト音(~135dBnSPL)、対側耳には白色雑音(刺激音の-30dBSPL)を加えた。音刺激中はモニター上に呈示した視標を固視させることで、上方視を保持させた。記録は、刺激耳と同側、対側の両側で行い比較した。さらに、刺激周波数を500Hz、1kHz、2kHz、4kHzと変化させ閾値を検討した。眼位の影響は上方および下方固視時の反応の比較で行った。【結果】音刺激開始から20msec以内の短潜時に二相性の誘発波形が記録された。初めに観察される陰性波をn1、引き続き記録される陽性波をp1と命名した。n1およびp1の波長潜時はそれぞれ7msecおよび13msecであった。音刺激と同側、対側の記録を比較すると、対側記録の振幅が同側よりも大きかった。さらに、刺激周波数の変化により低い刺激周波数の閾値は高い刺激周波数よりも低かった。上方固視時の振幅は下方よりも大きかった。【考察】今回の研究から、強大音によりサル眼窩下方で記録される誘発反応は、(1)眼位の影響を受け、(2)対側優位であり、(3)低刺激周波数で閾値が低いことが明らかとなった。これらの特徴は、ヒトでのOVEMPの特徴と類似しており、今回の実験系はヒトOVEMPのモデル動物として利用可能であると考えられた。今後、本動物モデル用いて研究を進めることで、OVEMPの起源、神経径路が解明されることが期待される。
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