研究課題
治療に難渋するメニエール病症例においては、反復するめまいの改善には日内リズムの是正が有用であることは過去に報告したが、そのメカニズムはいまだ不明である。今回用いた老化促進マウス(SAMP8)は日内リズム異常モデルとして有用であることを証明できた。また、そうしたリズム変調をきたしたマウスを用いて、ミニポンプによる慢性的なバゾプレッシン投与による内リンパ水腫モデルを作成するとともに、行動解析から日内リズムを計測した。また、正常マウスにおいて、投与前と投与1週間での聴性脳幹反応(ABR)を測定し、マウス内耳の形態学的変化も比較検討した。バゾプレッシン投与群では明らかに行動特性において、日内リズムの乱れならびに行動抑制が観察された。また、内耳内リンパ水腫の形成ならびに蝸牛血管条の萎縮が観察された。ABRにおいて、閾値上昇が観察された。臨床では、メニエール病症例において、その発作期における血漿バゾプレッシン濃度がその聴力予後に影響し、とくに1kHz付近の聴力予後と負の相関関係があることを報告した。これらのことから、バゾプレッシンは内リンパ水腫形成に関与するとともに、聴力予後に影響する可能性が示唆された。また、行動特性の面から、日内リズムの乱れまたは行動量が抑制されたことから、メニエール病症例でしばしば認める抑うつ状態とバゾプレッシン上昇との関連性が示唆された。すでに日内リズムの乱れとともに行動量の抑制が観察されるSAMP8におけるバゾプレッシンの内耳形態ならびに聴力への影響について更に検討している。
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