研究課題
わが国では高齢者人口の増加とともに加齢による難聴は重大な問題になってきた。加齢による難聴は高齢者の生活の質を大いに低下させる。加齢による難聴の大部分は感音難聴による。C57BL/6マウスを含め、加齢性難聴感受性遺伝子座Ah1をもつマウス系統は、騒音性難聴にも感受性があり、加齢性難聴と騒音性難聴の発症には、共通の遺伝子の関与も示唆され、加齢性難聴と騒音性難聴において、その発症要因は大いに関連がある。C57BL/6マウスでの実験結果では、7週齢に比べて7-8ヶ月齢では聴力低下とともに、内耳蝸牛での酸化ストレスの増加を認めることを確認した。深麻酔下、断頭後、内耳を摘出し、モルモット内耳の器官培養を用いて、成長因子投与後のシグナル伝達を、免疫組織染色により評価する方法を確立した。回転式ミクロトームにより安定した切片を得ることが可能になった。この方法を用い、in vitroの系で成長因子(VEGF)の刺激下で、ERK1/2のリン酸化が起こる経路を確認した。薬物投与法に関しては、全身投与のほかに、中耳鼓室からの局所投与があるが、中耳と内耳の間には正円窓という透過性の高い膜があり、鼓室内に薬剤を投与すれば内耳内に高濃度に薬剤を移行させることが可能である。器官培養での知見を集積することにより成長因子の投与の内耳保護効果の機構が明らかになる可能性があり、加齢による難聴や騒音性難聴の治療や予防に役立つものと考える。
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