初感染顔面神経モデルのウイルス増殖部位(膝神経節、ルートエントリーゾーン、顔面神経核)での増殖感染メカニズムを電子顕微鏡で観察した。また、HSV-1接種により初感染顔面神経マウスモデルを作成し、2か月経過後、抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD72抗体を腹腔内に投与して免疫系を抑制し、再活性化顔面神経麻痺マウスモデルを作成した。同モデルから、抗体投与後1日から14日後まで連日で生理食塩水および4%パラフォルムアルデヒドで経心還流固定を行い、顔面神経管内顔面神経(膝神経節を含む)及び脳幹を摘出した。再びパラホルムアルデヒドにて後固定後にパラフィンにて包埋、薄切して切片を作成した。抗HSV-1抗体を一次抗体に用いた免疫組織化学を行った。蛍光顕微鏡で末梢および中枢神経の観察を行いHSV-1の再活性化部位の特定と同部位における再活性化および感染標的細胞の研究と、その時間的、空間的増殖経路の研究を行った。ウイルスは抗体接種4日後に顔面神経知覚枝の神経節である末梢の膝神経節部と顔面神経運動枝の中枢神経核である顔面神経核でウイルスの再活性化およびウイルス増殖が認められた。これらの感染部位での抗体反応は接種後7日をピークとしてウイルス接種12日後ごろまで見られた。以上より、膝神経節、顔面神経核がウイルス再活性化の中心部位であることが明らかになったため、この2か所より同条件の電子顕微鏡用の資料を作成し、同資料を用いて電子顕微鏡での観察を続けている。現在までに明らかにされている範囲では、これらの部位ではおのおのウイルス増殖細胞やウイルス感染の拡大メカニズムが異なっており、来年度中には時系列でこれらの部位における詳細なウイルス再活性化、拡大のメカニズムが明らかになる予定である。
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