研究概要 |
内耳血管条のaquaporinの分布を決定した。Aquaporin-1は中間細胞に、aqujaporin-2,と-3は基底細胞に、aquaporin-7,と-9は辺縁細胞の管腔側に発現するこが明らかになった。また、aquaporin-4、-5は血管条に発現しないことが判明した。なお、aquaporin-6は血管条のすべての細胞に〓漫性に発現するが、膜タンパクでないので血管条の細胞膜を通しての水代謝には関与しないものと考えられた。辺縁細胞の基底側には、内リンパの分泌に関与すると考えられているNKCC1が分布することはすでに報告されている。このNKCC1を阻害すると血管条の細胞間隙に水の貯留が認められるが、同様の現象がvasopressinを負荷しても認められ、vasopressinのantagonistを前負荷すると消失することが確認された。蛍光染色で確認されたaquaporinの局在部位については免疫電顕で確認中であるが、予備実験でaquaporin-2とvasopressin type2receptorが血管条基底細胞の外側に、aquaporin-3が内側に局在することがほぼ確認できた。以上の実験結果より、vasopressin-aquaporin-2系の水代謝機構が血管条、特に、外リンパ系と内リンパ系の境界である基底細胞のレベルで重要な役割を演じていることが分かった。なお、人内リンパ嚢にも血管条と同様にaquaporin-1,-3,-4、及び、vasopresin type 2 receptorとNKCC1,2が発現することが分かったので、内リンパ嚢の水代謝について今後検討する道筋がついた。
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