研究課題/領域番号 |
20591998
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山本 英之 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (50345691)
|
研究分担者 |
藤枝 重治 福井大学, 医学部, 教授 (30238539)
山田 武千代 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (70283182)
木村 有一 福井大学, 医学部, 助教 (50281035)
|
キーワード | アレルギー性鼻炎 / 内分泌撹乱物質 / PD-ECGF / IgE / STAT6 / TPI / 血管新生 / SNP |
研究概要 |
これまでの研究で、アレルギー疾患の発症に、内分泌撹乱物質の関与が示唆された。また、環境化学物質代謝に関わるCYP1A1のSNPと成人スギ花粉症発症との有意な相関を認めた。 一方、内分泌撹乱物質はそのエストロゲン様作用が有名である。エストロゲンは子宮内膜における生理的血管新生を誘導する。また、喫煙は内分泌撹乱物質による血管内皮の非生理的血管新生を誘導する。このように内分泌撹乱物質と血管新生因子は深い相関があるが、アレルギー性鼻炎と血管新生因子の相関については明らかではない。そこで、血管新生因子(PD-ECGF)のPBMC(ヒト末梢血単核球)からのIgE産生への影響につき検討した。 PBMCにおけるIgE産生系において、PD-ECGFはIgE産生を有意に亢進した。VEGF、2DDRの刺激はIgE産生に影響を与えなかった。PD-ECGFはB細胞からのIgE産生をわずかに亢進したが有意ではなかった。IL-4と抗CD40抗体による刺激は、PBMCにおけるPD-ECGF発現をmRNA、蛋白共に誘導した。強力なPD-ECGF阻害剤であるTPIはIL-4と抗CD40抗体刺激によって誘導されるPD-ECGF発現を抑制した。また、PBMCからのIgE産生も濃度依存性に抑制した。TPIはB細胞におけるSTAT6のリン酸化を抑制した。しかし、STAT6活性化を阻害するとされるSOCS5、SOCS1は誘導しなかった。PD-ECGF,TP活性は、PD-ECGFはIL-4と抗CD40抗体のシグナルを増強すると考えられた。PD-ECGF/TPはIgE産生を増強する。そしてその阻害剤であるTPIが、IgEに関わるアレルギー疾患に対する有力な治療戦略となる可能性が示唆された。
|